おセンチ





私じゃ、駄目なのだろうか

やっぱり、あの子は彼女でなければ



「はあ…」

「なんだ?元気ないな、アレか

「…イザーク、そういう無神経な所は好きだけど今はそっとしといて」


イザークは少し傷ついた顔をしたから
悪いなぁとも思ったけれど
今は本当にそっとしておいて欲しかったから
傷ついた、寂しそうな顔のままにしておいた

私の代わりにニコルがイザークを慰める


「そんなあからさまに傷つかないでくださいよ、イザーク」

「お、俺は傷ついてなどいないぞ!」

「でも、塞ぎ込むなんてらしくありませんね。どうしたんですか?」

「イザークの言う通りアレなんじゃないの?」

「いいや、違うね」


イキナリ割り込んできて、イザーク同様無神経な言動をするディアッカ
と、やけに自信たっぷりに否定するアスラン


のアレは先週終わったから、まだのハズだ」

「ああ、そうか」


今はもう皆の言動がどうでもいいことだから聞き流してるけど
なんで、アスランはそんなに私のプライバシーに詳しいの?


「ちょっと皆、そんなどうでもいい事よりちゃんとした理由を聞きましょう?」


横道に逸れかけた話を
ニコルが毒舌混じりに軌道修正してくれた


「そうだな」

「じゃあ、聞いてみますか」

「話せ、

上から、アスラン・ディアッカ・イザークと
それぞれが同意を示し、詰め寄ってくる

私は一つため息をついて
ぼそぼそと、こうも元気の無い理由を話し始めた





一晩だけでもいいから、ピンクちゃんと一夜を過ごしたい
ラクスはすんなり私の願いを聞き入れてくれ
ピンクちゃんを貸してくれた

とても幸せな夜だった

相変わらず噛み合わない会話を延々として
同じベッドで寝た

翌朝早く、目を覚ましたら
ピンクちゃんはベッドに居なかった
部屋にも、家にも、どこにも、ピンクちゃんの姿は無かった





「一緒に寝ただとぉ!?」

「落ち着けイザーク、たかが機械だろ?」

「たかが機械じゃない!ハロだ」

「それが原因で、元気が無いんですか?」

「ううん、それは別に構わなかったの。
夜這いに来たイザークが可愛さに盗んでいったとか
そういうのかなって思ったから」

「お、俺は夜這いなぞしないぞ!」

「叫ばないで下さい。そんな度胸が無いのは皆知ってますから」

「違う!!貞操というのはだな――」

「で、(俺の)ハロはどうなったんだ?」

生みの親のアスランが心配そうな表情を浮かべる
私は、続きを話し始めた





なんで居なくなったのかは分からないけど
とにかく、私の不注意だから
ラクスに謝らないと、と思い立った私は
早速クライン邸へ向かった

そこで、ラクスに抱っこされてるピンクちゃんを見つけた

「ラークースー」

幸せそうなピンクちゃん

きっとホームシックにでもなって一人…一体で帰ってきたんだ

やっぱりピンクちゃんの一番はラクス
そう実感すると、とても寂しかった





「…あのハロは、ラクスの為に作ったものだったからな」

「ふん…くだらん」


思い出して、再び沈んだ私に
イザークは捨て台詞のようなものを残してどこかに去っていった

すぐ後を追ったディアッカは
5秒で追い返されて戻ってきた


「きっと、やきもちでも妬いたんでしょうね。イザークは」


それは、今日一番どうでもいいことだった





夜。
いつも以上に疲れて帰宅すると


「…ん?」


暗闇に人影

電気を着けると、愛らしいピンクの髪の少女が照らし出された


「ラクス?」

「こんばんわ」

「あ、こんばんわ」


つられて挨拶をしてしまったものの
なんで、こんな所に?っていうか不法侵入じゃ…
といいたげな私の気持ちを察したのか
ラクスにっこり微笑んだ


「実は今日、イザーク・ジュールが訪ねていらして」

「イザークが?」

「わたくし、怒られてしまいましたの」


どうやら、皆の前から姿を消したイザークはその足で
クライン家を訪れたらしい
そして、ラクスとピンクちゃんに向かってお説教をしたらしい


『貴女の友達とかいうハロは、女に恥じをかかせて
平気な顔をしておられるが、それはどういうことですか?
紳士としてのたしなみが全くなってないのでは?』


と。


紳士という言葉を使ったイザークに笑いがこみ上げてくる


「わたくしはてっきりがピンクちゃんを一人でお帰しになったのかと
ばかり思っていたのですが…」


それは勘違いだった。とラクスは申し訳なさそうに謝る
当のピンクちゃんはラクスの膝で「ミトメタクナーイ」と連呼していた


「あー、ラクスが謝ることないよ!ピンクちゃんが私よりラクスを選んだだけだから」

「そんなことありませんわ。ピンクちゃんはが大好きですのよ、ね?」

「オマエモナー」

「本当?ピンクちゃん…」

「ナンデヤネン!」

「ほら、大好きですって!」

「わぁ、よかった」


みるみる元気が戻ってくる気がした

いつも無神経なイザークが、私の為に行動してくれた
という事実も一応嬉しかった

明日、一応お礼を言おう

飛び跳ねるピンクちゃんを見つめながら
密かに思った





End



不法侵入はお互い様です

ハロが絡むと、乙女モードに突入するヒロイン
かなり末期なんですね!
多分、イザーク相手にはここまでブルーになったりはしないかと…
まぁその話しはまた後日書くつもりですが

因みにヒロイン、夜這いの意味分ってないです
二人は清い交際なのです
イザ―クは貞操は初夜までとっとくものだと思ってるハズ!!
↑理想(私の)