機械仕掛けの眠り姫#7
「おはよう!イザーク」
アスランとフリーダムのパイロットことキラ・ヤマトの間から
元気に手を挙げたの元気な挨拶に片手で応えながら食堂に入る
手招きするディアッカの隣に座ると、そこはの真正面だった
どうやらディアッカがいらない世話を焼いたらしい
心持ち睨みつけてやると、ぐっと上げた親指とウインクが返って来た
「ねぇキラ、今日は何を解体する?」
「は何がいいの?」
「トリィ」
ちらりとやったの視線から逃れるように
トリィと一声鳴いたアスラン製トリロボットが、キラ・ヤマトの肩から飛び立ち
何故か俺の頭に止まった
だが、誰一人その事に触れることなく会話は続いている
「トリィは…難しいよ」
「そうだ。あれはお前達にはまだ早い」
「…分かった。じゃあ今日もハロね!」
話はいつものようにハロの解体&組み立てで落ち着いたらしい
いい加減飽きないのかと問いたいが
もしかするとハロには壊しては作ってを繰り返したくなるような
魔力でもあるのか
解体した事も組み立てたこともない俺には分からない
「“俺も混ぜて”って言えば?」
隣から小声で余計な提案をしてくるディアッカを横目で睨む
「何故俺がそんな恥ずかしい事を言わねばならん?」
「だってよ、このままだとどんどん開いていくじゃん。イザークとキラの差」
それもそうだが、だからと言って混ぜて下さいと言うのは
俺のプライドが許さない
けど、そんな本音を打ち明けてしまうのも俺のプライドが許さないので
口を固く閉じて黙っていると
「トリィ」
機械的な声でトリィがまた鳴き
唐突に、かつ執拗に俺の頭を突つき始めた
「イテッ!な、なんなんだ一体!?」
「ほら、トリィも頑張れってさ」
ほのぼのと言う前に何とかしろディアッカ
「おいアスラン!コレをなんとかしろ!」
ディアッカが優しい瞳で微笑むだけなので
制作者に訴える。誤作動を起こしたのかもしれない
「ああ。好きなんだなきっと、イザークのおかっぱが」
こっちはほのぼのというより投げやりだった
「何で髪型限定なんだ!それに貴様は好きなモノを突つけとプログラムしたのか!?」
「勝手に覚えたのさ、きっと」
なら、躾が悪いのか
勢いをつけてキラ・ヤマトを睨みつけようとしたら
勢いをつけすぎてを睨みつけてしまった
しかし、はそれには無反応で、俺の頭をじっと見て微笑んでいた
「イザークって赤も似合うね」
赤が似合う?
確かに俺はエースパイロットだが、何故今そんな事を言う?
疑問を浮かべる俺の顔面を何かが流れた
手で拭い確認すると、真っ赤な液体がべっとりついた手のひらが
目に飛び込んできた
「トリィ!ダメだよ!」
キラ・ヤマトが立ち上がり、叫ぶ
全てを察し、同じように立ち上がった俺の頭から
トリィ、と鳴きながらトリィが飛び立つ
「きっっさまぁ!唐揚げにしてやる!!」
嘴を赤く濡らした鳥型ロボットは食堂中を逃げ回り
俺はフォーク片手に追いかける
「イザーク頑張れ!」
の応援らしき声が聞こえた気もするが気のせいかもしれない
結局、キラ・ヤマトの可愛い愛玩ロボットのおかげで
貴重なとの会話のチャンスと
貴重な食事を逃した
back next
実はこの続きもあったのですが
イマイチだったのでカットしたらこの短さになりました。
何故かとことん不幸なイザークですみません。
本当にVSな話になるのか心配になってきました。