機械仕掛けの眠り姫6





はアスランを“お父さん”と呼ぶ
ハロやトリィの様に、を製作したのはアスランだから
まぁ、理解はできるが

それならば、

“お父さん”ではなく“お母さん”じゃないのか?

そう質問した私に
そこがミソなんだよ。と不敵な笑みでアスランは言った

何がどうミソなのかは分からないが
とにかく、アスランはのお父さんで

にお父さんと呼ばれ
とても満ち足りている、といった様子のアスランを見て

私は

たまらなく

思う、


羨ましい。と



草木も眠る丑三つ時…
という言葉は、この宇宙では意味を成さないのかもしれないが
まぁ、たいていの人間が眠っている夜中辺り

通路を進み、目的の部屋のドアの前で止まった
ドアが開き中へ入ると、通路の光も一瞬、一緒に入ってきたけど
部屋の中の二人の睡眠へ影響を与える程ではなかった

足音を立てないように注意しつつ
ベッドに近づく

ベッドにはアスランと
アスランの腕に包まれているが眠っていた
いつもの睡眠スタイルだ

初めてこれを見た時は
一緒に寝ているのかよ!と慣れないツッコミもしてみたが
何度も見ている内に、微笑ましくなってきた

ベッドの端に手をつき、手前のの耳元に口を近づける
暗闇の中では距離感が掴みにくい
注意深く近づいて、ほんの小さく息を吸い
小さい声を出す


「いいか、

「んー?」

「カガリはお姉ちゃんだぞ。お・ね・え・ちゃん」

「うー…」


アスランの腕の中でがモゾモゾ動き
すぐに静まる


「カガリはのお姉ちゃん。ほら、言ってみろ」

「んんー、カガリはぁ――」

「お姉ちゃん」

「お前じゃないって」


一緒に学習してしまたのか
の代わりに、お姉ちゃんと言ったアスランに小さくツッコミ
更にに語りかける


「カガリはお姉ちゃん。お姉ちゃん。お姉ちゃん」

「うー…おねぇ…」

「そう!いいぞ、その調子だ!」

「おね…おね…」

「頑張れ!」

「…お姉ちゃん」

「そうだ!」


心の中で大きくガッツポーズをした

ここ数日、毎晩囁いて教え込んだ苦労が
ついに報われた

これからは、ずっとそう呼ぶようにと念を押してから
部屋を出た



自分の部屋に戻る途中の角で
ばったりキラと出くわした


「な、何やってるんだキラ!もう消灯時間はとっくに過ぎてるぞ」

「カガリこそ何やってるの?」

「わ、私はちょっとやらなければいけないことがあって…」


ふうん。と納得したようなしていないような
分かりにくい返事を、キラはした


「早く寝ろよ」


お決まりの台詞を言って
キラの脇を通りぬけ、少し進んだ所でくるりと振り返る


「キラ!」

「え?何?」

のことだけどさ…」

の、こと?」

「お前、幸せにしてやるんだぞ」

「な、何急に。なんでカガリまでそんな事言うの?」


“まで”って事は、他の誰かにも似たような事を
言われたのか…


「理由なんてどうでもいいだろ。とにかく、こっちはもう準備出来ているんだからな!」

「…準備?」


不思議そうな顔のキラをその場に残し
今度は一度も振り返らず
自室へ戻った



「キラ、私をの正真正銘のお姉ちゃんにするんだぞ」





Back Next





カガリはお姉ちゃんになりたいようです。
なので、一応キラ派になりました

こういう風に、当事者達の知らない所で
味方が増えたり、敵が出来たりしていきます。

果たして、イザークの味方は出てくるのでしょうか?