前略、森の中より#1





『赤5名、緑一名ですか』

『君なら無理な数ではないだろう?』

『はぁ…でもいいんですか?』

『何が、かね?』

『いくら威力を低めても、実弾を使用するのは…
 当たり所が悪くて死ぬのはいいとして、ケガなんかして使い物にならなくなったりしたら』

『その時はその時考えればいい』

『ま、演習で負傷する兵士なんてウチには要りませんよね』

『よく分かっているな』

『あなたの一番の部下ですから』





「…てなワケで私、をあなた達が捕獲するか
 私があなた達全員を捕獲すれば演習は終了。おわかり?」

「ってかさ、なんでイマドキ、サバイバル演習なワケ?」


ごもっともな発言は、ディアッカ・エルスマン
他の5人も同意する様にそれぞれ頷く

誰も彼もこれから始まる事を歓迎してないって顔


悲しいかなサバイバル演習なんて、正直時代遅れ

そんな事は周知の事実


「MAやMSの訓練なんて、これからバカ程できるわ」

「何故それを先にしないんだ?」


蒼い髪に緑の瞳の少年、アスラン・ザラが挙手無しで言う


「こーゆー訓練も必要よ?」


なんて台詞では納得しないかな

ちらりと皆の様子を伺うと、やっぱり納得していなかったので


「少なくても、クルーゼ隊にはね」


クルーゼ隊長の名を出して付け加えると
一応は納得したらしい表情を見せた

ま、クルーゼ隊長の噂は色々聞いてるだろうし
結構効果的な台詞だったのかも


「あ、あの…」


おずおずと手を挙げたのは…えと、確か


「ニコル・アマルフィね。何?」

「先ほどの説明で、武器は全て本物だと聞いたんですが…」

「そーそー、ちょっと物騒じゃね?」


ニコルの発言に間を置かず口を開いたラスティ・マッケンジーを
一瞬目を細めて見た


「実弾使用はクルーゼ隊長たっての希望だし
 オモチャでやったら“たかが演習”って気抜く人もいるだろうし」


数人がぐ、と息を呑んだ

完全に演習舐めてるわね、コイツら

その舐めっぷりがちょっと頭に来たので
わざと明るい声を出してみる


「あ、でも大丈夫大丈夫。ちゃんと手加減して急所は外してあげるから」


途端に、数人の顔色が変化したのが分かった


「…ず、ずいぶん余裕のある物言いだな」


銀髪を震えさせながら
ずいぶん余裕のない物言いでイザーク・ジュールが呟く

私は輝く笑顔で言ってやる


「当たり前でしょ?うっかり本気だして殺しちゃったら困るのは私だもん」

「なんだと貴様――」

「よせってイザーク!」


飛びかかってこようとしたイザークをディアッカが慌てて止める

ディアッカ自身も、気に入らないって顔だけど
感情だけで動くのはいけない、ってちゃんと理解してる辺り偉いわね


「そんなに無鉄砲だと、一番に掴まるわよ?」


ね?と同意を求めるように、アスランの方に視線を送ると
アスランは緑の瞳をふてくされたように逸らした


「あなた達は殺すつもりできていいから」


6人を順番に見まわし
口の端を吊り上げ、挑戦的な視線を送る


「それ位じゃないと、私には敵わない」


言われなくても。

そんな表情を見せる彼らに私はとりあえず満足した

挑発は成功したらしい



「じゃ、これ付けて。2分後この時計のベルが鳴ったら演習開始だから」


アイマスクを手渡し

地面にタイマー付きの時計を置く

皆がアイマスクを装着したのを確認し


「…ぶっ」


その姿に、ふと隊長の仮面を重ねて噴出してから

音を立てず、この場を離れ、森の奥へ消えた





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やっぱりこういう話が一番書くの好きみたいです(読むのも好き!)

重要なルール説明など、もっと詳しく書きたかったのですが
なにぶん文才が無いもので。すいません

明確なお相手はいませんが
恋愛は入れていくつもりです。
逆ハみたいになればな…と思っております。