前略、森の中より#7





「まさか、味方に裏切られるなんてねー」

「誰が裏切ったんだ?」

「お前だよ。お・ま・え」

「うるさい!誰も裏切ってなどいない!」

「いやいや、実際裏切ったのよ。イザーク」


仲良く縛られて並ぶ二人のやりとりが面白くて
つい仲間に入ろうと口を挟む

ほら見ろ。と言わんばかりにニヤリと
隣を見るディアッカ


「そっそのおかげで貴様はディアッカを捕まえられたんだろうが!」


懸命に言い訳するイザーク


「それはそうなんだけどねー」


わたしはとりあえず同意しておく


「いくら寂しいからって仲間売ることないだろ」

「ちっちが!寂しいからじゃ――」

「じゃああれか?さっき庇ってもらった時に
 胸が当たったとかしてつい寝返ったのか?」


再びニヤリとディアッカが笑う
反射的に胸を隠す仕草をして、そうなの?と聞くと


「バカか!あんな小さいのに当たったか分かるわけないだろ!」


ムカツク一言が返ってきたので
思いきり勢いをつけて、銀髪の頭にチョップを食らわせてやった


「せめて、一瞬の事で覚えてないとか言いなさいよ」


縛られた両手では痛む頭を押さえることもできず
ただ痛みに耐えるイザークを見下ろし


「あー確かに、それじゃわかんないか」


じっと見上げて感想を漏らしたディアッカの顔面に
拳をめり込ませた


「ひ…酷ぇ…」

「次、この話題出したら殺すから」


涙目でうめいたディアッカに、できるだけ冷静に告げ
二人に背を向ける


気にしてるのに…


コンプレックス
凹凸のはっきりしない体をちらりと見
ため息を付きながら空を仰ごうとした時


「…ん?」


視界の端にキラリと光った何かを捉え
意識を小さく光る何かに集中させる

緑の葉を枝いっぱいに茂らせる木の上から光るそれは…

何か、
を判断する前に
反射的に足を折って身を屈める

一瞬前までわたしの顔があった場所を
細長い物体が通り抜けて
背後の木――イザークとディアッカが背を預けている
太い幹に、鈍い音をたてて突き刺さり

ひっと息を呑んだ二人分の音がした


「な、なんだ今のは!」

「あっぶねーな…」


慌てるイザークと、冷静に文句を付けるディアッカ
自由にならない体をよじって首を精一杯伸ばし
頭上の物体を仰ぎ見る


「ボーガンの、矢…」


意外さに、驚いて思わず呟いた

鉛の玉が飛んでくるならまだしも
ボーガンとは…

手製の爆弾といい、ボーガンといい
マニアックなヤツばかりね
まぁ、ボーガン撃ってきたのもアスランなら
アスラン一人がマニアックなんだろうけど


「おい、

「はい?」


不意に名前を呼ばれ、ボーガンを見つめるイザークを見遣る


「何か付いてるぞ」

「あ」


確かに、矢に何か付いている
第二段を警戒しつつ四つんばいで幹に近寄り


「あで…!」


ディアッカの頭に手を乗せ踏ん張って
幹にめり込んだ矢を引き抜く

矢には細長く折られた紙が結び付けられていた


「手紙…?」

「果たし状か?」

「ラブレターだったりして」

「だったら嬉しいけど」


冗談を言ったディアッカに冗談で返し
矢から手紙らしき紙を外す

紙を開いて






「ひぃい!!」


そこに書かれていた文面を読み上げたと同じに走った悪寒
思わず声を挙げ手紙を投げ捨てる



俺はここにいるよ

捕まえてごらん、マイハニー



身の毛もよだつ文章が
ひらりと舞って、柔らかい草の上に落ちた





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久しぶりの更新で、一体今何話だったか忘れてしまいました
ヤバイヤバイ…

ヒロインが貧乳なのは、私の趣味です…
ごめんなさい